1. 直面した「地方の洗礼」:物件不足と高額な家賃

日基リース様の工場があるのは、広島県安芸太田町。豊かな自然に囲まれた場所ですが、賃貸住宅という点では厳しい現実がありました。

「外国人材を受け入れるにあたり、工場の近隣で物件を探しましたが、とにかく数が少ない。さらに、希少な物件は家賃が高額で、従業員に提供する住居としてはコスト面でも非常に大きな課題でした」と同社の担当者は語ります。

「日本語能力の向上」という教育面の苦労に加え、物理的な「箱(住居)」が見つからない。雇用の根幹を揺るがすこの事態に、同社は二つの独自の戦略で挑みました。

2. 解決策①:不動産業者を通さない「地元のネットワーク」の活用

まず同社が行ったのは、既存の不動産ルート以外の開拓でした。

「不動産業者に相談するだけでなく、地元の方々にも協力を仰ぎました」。

地方においては、ネットや業者に載っていない「空き家」や「活用可能な建物」の情報を、地域のキーマンが握っていることが多々あります。地元のネットワークを味方につけ、一軒ずつ地道に情報を集める。この地域に根ざしたアナログなアプローチが、住居確保の第一歩となりました。

3. 解決策②:「住む場所」を都市部へ。マイクロバス送迎という逆転の発想!

もう一つの解決策は、さらに大胆なものでした。工場周辺での確保に固執せず、住居のエリアを大きく広げ、広島市佐伯区の五日市周辺(都市部)に設定したのです。

「工場から離れた都市部に住居を確保する代わりに、自社でマイクロバスを購入し、専属の運転手も雇用しました。毎日、バスで従業員を工場まで送迎する体制を整えたのです」。

一見、車両代や人件費、ガソリン代などのコストが重く見えるこの戦略。しかし、そこには数字以上のメリットがありました。

「通勤時間はかかりますが、従業員たちは『都市部に住める』ことを非常に喜んでいます。買い物や生活の利便性が高い場所に住めることは、日本での生活を楽しむ上で大きな魅力となっているようです」。

「職場の近くに住ませる」という常識を捨て、「従業員が喜ぶ場所に住まわせ、移動手段を提供する」という逆転の発想が、定着率や満足度の向上という大きな成果を生みました。

4. 未来の雇用主への提言:「計画性」と「地域への信頼」を築く

最後に、これから外国人材雇用を検討している企業へ、日基リース様から力強いアドバイスをいただきました。

「住居の準備は、一筋縄ではいきません。特に地方では、不動産業者だけでなく、地元の皆様とも信頼関係を築き、広く協力を求めることが重要です」。

また、同社のような広域送迎という選択肢についても、「計画的な対応」の重要性を強調します。 「入職時期に合わせて、希望の立地や条件で物件を確保するのは至難の業です。だからこそ、早めに動き出し、時にはインフラを含めた柔軟な体制づくりを検討することが、スムーズな雇用の成功に繋がります」。